ちょっと「課長、彼氏がいるか聞いたらセクハラ」ですよ。
「ミスを叱るなんて、パワハラ」だ。
国内法では、セクハラ・パワハラを禁止する規定はありません。18年12月30日のJ-CASTニュースによると、連合(日本労働組合総連会合)の「20代のワークルールに関する意識・認識調査(※20歳~29歳の男女1,000人対象)」では、パワハラ・セクハラを法律違反だと間違えて解答した割合は93%でした。さて、みなさんはどのくらい「ワークルール」をご存じですか。
J-CASTニュース
セクハラ・パワハラは法律違反じゃない? みんなワークルール知らなすぎ! 連合調査
※パワハラ・セクハラ・モラハラ・マタハラ…法律違反ではありませんが、殴る蹴るなどの暴行があった場合は刑法で処罰されます。また、民法が規定する不法行為に該当すれば損害賠償義務を負います。
目次
ワークルールが注目される社会的な背景
ワークルールとは会社それぞれの慣習ではなく、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など労働に関わる国内法を根拠にしたルールを指します。日本は法治国家ですので、ルールには必ず根拠があります。
ただし、会社内で起きる微妙な問題は、もめた場合は責任者が判断するように、あくまで労働に関するルールです。
昨今、過労死、長期労働によるうつ病、自殺、ブラック企業など過酷な労働環境が浮き彫りになっています。今までは当たり前に行ってきた長期労働など日本的な働き方に対して、日本政府(※厚生労働省の長時間労働削減推進本部など)は対策に乗り出しています。大手広告代理店での過労死自殺がきっかけだと言われています。
そんな中、職場の働き方やトラブル対処、ルール作りをきちんとした形で経営していきたいと考える事業主や人事担当者を中心にワークルールに関する知識を学びたいニーズが高まっています。
ワークルールはどうやって学べばいいの?
大学の法学部に行かないと労働法などの労働に関する法律や考え方を学ぶ機会はそうそうないのかもしれません。連合の調査では、ワークルールを学ぶ機会がなかったと答えた人の割合は64%にも上っています。
大多数の人が、ワークルールを知らずに感覚だけで判断しているだと想像できます。
しかし、これは大きな問題です。
残業、休日出勤、リストラ、育児休暇、パートタイムに与えられた権利などお互いが知らずに何となくの慣習で会社を経営していたら、いつでも悲しい出来事が起きる可能性があります。自分の子が「朝出て毎日、深夜に帰ってくる」、「運送中に破損した荷物を会社に弁償させられている」……。こんなときに守ってあげられるのは、“ワークルール”しかないのです。感情論では解決できません。
ワークルールを効率良く学んで実社会で活かすには、
一般社団法人日本ワークルール検定協会が実施している「ワークルール検定」があります。
労働環境維持のためには欠かせない法律やルールを修得できる検定です。
労働に関する法律は、事業主として、セクハラ、パワハラ、社員の過失など労働トラブルを未然に防ぐためには欠かせません。労働者は、自分の権利を知ることで身を守ることができるのです。ワークルール検定は、双方に役立つものになっています。
また、グローバル化、働き方改革(多様化)、企業間競争の激化、規制緩和、人工知能・RPA・IoTなどのテクノロジーが進む中、企業ブランドやコンプライアンスを守るためにはワークルールの知識は欠かないのは明白です。
ワークルール検定はどんな問題が出題されるの?
ワークルール検定に出題される問題は、実社会で直面しそうな問題ばかりです。
例えば、事例の中から懲戒解雇、雇用保険、休職制度、パワハラ、セクハラの説明で正しいものを選ぶなど実践的な良問が揃っています。
また、「初級」、「中級」のレベルがあります。それぞれ、労働基準法、労働契約法、労働組合法が主な出題範囲です。中級では労働災害補償保険法が加わります。
2018年のWR(ワークルール検定)の合格者割合は、初級77・3%、中級65・2%。
初級は誰でも受験可能です。
試験の問題集を解いてみるだけでも、自分の知識レベルを客観的に評価でき、知識を深められます。
労働力不足とワークルールバランスの解決策
労働人口が不足していく中、いかにコンプライアンスを守りながら企業を発展させていくかが大きな課題です。その中で、ホワイトカラーのバックオフィスなどルール化しやすい業務をRPAと呼ばれるロボット(ソフトウエア)に行わせる企業が増えています。データ入力、労務や勤怠管理など人手だと大変な作業でも効率良くこなしてくれます。その浮いた労働力を新規事業や開発に力を入れるなどして、生産性を向上させる動きが活発です。
ワークルールだけでは解決できなかった問題でも、テクノロジーの発展で解消できることが増えていっています。今後、AI(人工知能)の発達が日本型労働問題を解決していくと期待されています。